・深刻な子どもの生活環境と必要な学びの保障
☆日本の子どもは7人に1人が貧困状態
日本の子どもの貧困率は13.7%(OECD2008、04年データ)と、7人に1人が貧困状態となっています。これは、貧困大国といわれているアメリカ(20.6%)に比べると低いものの、デンマーク(2.7%)、フィンランド(4.2%)などの北欧諸国、フランス(8.0%)、イギリス(10.1%)に比べると高い数値となっています。
(注)子どもの貧困率:全世帯を所得順に並べ、真ん中にあたる世帯が得ている所得の50%未満の所得の世帯に属する17歳以下の子どもの割合
☆きわめて厳しい環境に置かれている「遺児家庭」の実情
※母子家庭の平均年間所得、約134万円
・1998年 約200万円 → 2007年 約134万円と大幅に減少。
・遺児母子家庭では平均勤労年収が一般の約3割、教育費まで家計を回せないのが実情。
遺児母子家庭の母親と一般サラリーマンの勤労年収
(出典 あしなが育英会)
※あしなが育英会奨学金出願者数の推移
・1998年 1459人 → 2008年 2808人と不況を反映して急増。
※4世帯に1世帯の子どもたちが進路を断念
あしなが育英会が08年2月に実施した「遺児母子家庭緊急調査」では、4世帯に1世帯の子どもたちが進路を断念するなどの進路変更を余儀なくされていたことが分かった。
■ 苦悩する保護者の悲鳴と希望見えない遺児の声
(あしなが育英会発行の資料より)
- 過労で入院し体調に不安がありますが、働かないわけにもいかず、無理を続けています。そんな私を見て、将来の夢をあきらめ、専門学校へいかず就職しようとしている子どもを、胸の締め付けられる思いで見ています。(神奈川・母親)
- 子どもには寒い中、暖房も入れてあげられない生活が続いています。食べ盛りの子どもたちに満足に食べさせてあげられない辛さ。10万円程のささやかな生活さえも奪われてしまいました。(長崎・母親)
- 学年すべてが進学を希望し、自分も進学を希望していたが、経済状況を考えて、就職ということで学校で面談を進めている。(滋賀・遺児)
- 休みなくバイトにあけくれました。母も過労で倒れるし、大変な年末でした。母に、もしものことがあったらと不安。(岐阜・遺児、あしなが育英会08年末年始調査)
- アルバイトを探したが見つからず、お金がないので、出かけることができなかった。家計を助けることもできないので悔しい。(福島・遺児、あしなが育英会08年末年始調査)
- ご飯のおかわりがあまりできなかった。(大阪・遺児、あしなが育英会08年末年始調査)
■ 卒業した遺児の声
(あしなが育英会発行の資料より)
- あしなが育英会のお陰で無事に高校を卒業できました。4月から大学で英語を本格的に勉強します。将来は日本と外国を結ぶ仕事に就きたいです。(北海道・08年高卒生)
- 4月から保育関係の短大へ進学します。目標は、子どもの話に真剣に耳を傾け、心の声まで感じることができる保育士になることです。(兵庫・08年高卒生)
- 小学校1年生の時に母親を亡くしました。あしなが育英会の奨学金を利用して大学に通うことができ、遺児の一人として、すべての遺児が進学のチャンスを得られることを願い活動しています。「奨学金」は遺児たちが自分自身で貧困から抜け出す力をつけるために必要不可欠です。ご理解ご支援ください。(第76回あしなが学生募金事務局事務局長・筑波大4年)
毎日新聞より(2009年2月9日)→
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