OTUニュース
2017.01.27
想像する力


  「あの親はどうなっとんなら。家庭訪問(年度当初に行う“定例”の家庭訪問)に行ってもおらんし、参観日にも一度も来ん。」これは、とある職員室での会話です。まったくもって教育に無関心なケシカラヌ親である、と言わんばかりです。えっ、本当にそうなん?
  どんな場合が想定されるでしょうか。本当に我が子の教育に無関心、ホッタラカシの親ならば、しかるべき話をせねばなりません。「ええ加減にせえ!」と少々大きな声で言わざるを得ないことだってあるかもしれません。担任一人じゃしんどいから複数で対応することも多いし、専門機関や行政に相談しながら、場合によってはそうした職員に同行してもらうことも考えられます。親との会話を積み重ねていくうちに、のっぴきならぬ事情が見えてくることもあります。その“事情”が子どもの育ちに影響を与えているのなら、課題解決に向けた動きもせねばなりません。もちろん、一人では限界がありますから、いろんな人と相談しながらすすめます。
  冒頭の親は、実は学校から配られる「参観日のご案内」が読めないのでした。昔話ではありません。ごく少数ではあっても、平成の世の現実です。その親は「自分は“学”がなくて本当に苦労した。だから我が子には・・・」という“親らしい”思いをもっていました。学校からの配付文書は気になる、でも漢字が読めない、一方で深夜まで働いてクタクタで・・・。
  教職員からみれば「今の時代に漢字が読めない親がいる」なんて考えの外にあることでしょう。たいへんな誤解をするところでした。
  本当に想像力が大切です。多様な子どもたちがやってくる教室。その背景には多様な家族のくらし・思いがあるのです。

(梶原洋一)



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