OTUニュース
2016.10.18
殺傷事件から考えたこと


  時事はできるだけ書かないようにしてきたのですが、今回はあえて書いてみます。
  今年の7月末、神奈川県相模原市の障害者施設で多数の入居者が殺傷されるという痛ましい事件が発生しました。容疑者として逮捕されたのは、半年前までその施設で働いていた元職員だそうです。事件そのものは言語道断、あってはならない事件です。奪われてしまった多くの命の無念さを思うと、言葉もありません。
  容疑者は「障害者はこの世に不要」という趣旨の発言をたびたび口にしていたようです。
こうした考えはどこから来てしまったのでしょうか。教育関係者たる私は、もしかしたら・・・と、ふと考えてしまうのは今の学校教育のあり方です。右も左も「点を取らせろ」「順位を上げろ」の大合唱で、そのための施策が次々と学校現場に下りてきています。考えるゆとりすらない教職員は、「何か違う」と感じながらも、そうした施策に否応なしに飲み込まれているのが現状です。
  費用対効果、目に見える成果(点数)、自己責任、・・・、聞こえのいい言葉ですが、これらが唯一無二の価値として学校教育の中で吹き荒れると、結果はどうなるか。怖いのは、知らず知らずのうちに、そうした偏狭な価値観を子ども達に植え付けてしまうことです。教育活動は、人間と人間が、人間関係を紡ぎながら行われるものです。目に見える成果は大変重要ですが、決してそれだけではないのです。点数主義に陥った教育を直ちに改めなければなりません。
  事件後、亡くなられた方のお母さんが、「彼の存在そのものが、私たち家族の希望でした」と話されていたと新聞記事にありました。この言葉の意味を深く考えてみたいと思うのです。

(梶原洋一)



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