OTUニュース
2015.12.24
若者とこの国の「未来」


  「ブラック企業」という言葉が流行語大賞のトップ10に入ったのは2013年のこと。あれから2年、若者たちのおかれている雇用・賃金・生活の状況はさらに悪化している。学生時代に借りた奨学金の返済が重くのしかかっている教え子たちも急増している。えっ?って思う人がいるかもしれない。でも、私たちが奨学金制度にお世話になった時代とは明らかに諸般の状況が違ってきている。利用している大学生はついに50%を超えた。
  まずは、大学の授業料。国立大学法人でさえ初年度は入学金を含めて81万円強を納めなければならない。これは35年前の実に8倍で、物価上昇率をはるかに上回る数値だ。それに対して親の収入(世帯年収の中央値)はここ20年で約100万円も低下している。親たちも苦しく、よって奨学金に頼らざるを得ない学生が急増しているのだ。そしてアルバイト。学生の足元を見てのことか、「ブラックバイト」という言葉すら巷を飛び交うようになってしまった。さらに、大学を卒業しても非正規雇用が40%を超えるという事実と向き合わねばならない。その結果「返したくても返せない」若者が増加するという悲しい結果となっている。ある20代の教え子は「将来が見えません」と話していた。
  “先進国”と呼ばれるOECD加盟国の中で、大学が有償で、かつ給付型奨学金制度がないのは日本だけだ。金がないなら大学に行くな、という声も聞かれるが、それは事の本質を見ない暴論だ。高卒者に対する求人数はここ20年で1/8まで低下している。
  憲法第26条には「すべて国民は、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する」とある。貧しいから学ぶ権利を奪われる、これはあってはならないことなのだ。
  若者の貧困問題はこの国の未来にかかわる極めて重大な社会問題だ。社会全体で考え、取り組んでいかなければ、まさにこの国そのものの「将来が見えない」ことになってしまわないか。

(梶原洋一)



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