OTUニュース
2015.02.20
酒と父と私と息子


  父親は夜になるとちゃぶ台の前にどかと座りウイスキーの水割りを作りながらチビチビとやっていた。私は父親のひざの上に座り、時々つまみのチーズを口に入れてもらっていた。学生時代アメフトをやっていたという父親の懐はやけに大きくゴツゴツしていたように記憶する。私が小学校1年生か2年生のとき、父親が酒を呑んでいるところを描いた絵がたまたま何かのコンクールで入選し、えらく褒められたのを覚えている。父親に褒められた唯一の記憶と言っていい。職を転々としていた父親も、私が産まれてからは地元の事業所に落ち着いたらしい。
  あれから半世紀が経とうとしている。今の私は毎晩のお酒が欠かせない。日常のくらしのなかで父親を思い出すことはほとんど無いが、生きていたらたまには酌み交わすこともあったかもしれないなあと、思わないでもない。昭和ヒトケタ生まれの彼からいろんな話を聞きたかったとも思う。
  今、二十歳を過ぎた息子と、たまに一杯やるようになった。50年後、今の私と同じように、息子もまた私と酌み交わした情景を思い起こすことがあるのだろうか。ビールと焼酎しか飲まなかった私も、この頃少しだけウイスキーの味が分かるようになってきたように思う。
(梶原洋一)



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