OTUニュース
2014.12.01
消滅可能性自治体


  1990年代に「限界集落」という言葉が登場しました。人口の50%以上が65歳以上の高齢者で、冠婚葬祭などの社会的共同体の維持が難しい集落のことです。この言葉も衝撃でしたが、今年はついに「消滅可能性自治体」という驚くべき言葉が発表されました。集落どころか、自治体そのものが消滅してしまう可能性があるということ。その数、なんと900近く。これは全国の自治体の約半数にあたります。日本創生会議の人口減少問題分科会が報告したその根拠は、20〜39歳の女性人口の予想減少率だそうです。確かに山と田んぼに囲まれた小さな集落で暮らす私には何となく分かる話です。
  いま過疎に悩む多くの自治体で、IターンやUターンを含め若者の定住にむけた取り組みがすすめられています。女性の合計特殊出生率の数値目標を定め、そのための施策を積極的に実施していこうとする自治体さえ出てきました。
  しかしねえ、もっと根本的な課題があると思えてならないのです。家庭で、学校で、地域で一生懸命育てた子どもたちがどんどん都会を目指すのには理由があるのです。そもそも、結婚するかしないか、子どもを産むか産まないか、産むとしたら何人か、それは自ら(パートナーと)の意思で決めるものであって、行政が「目標」を掲げて奨励するものではないはずです。さまざまな理由で産みたくても産めない女性だっているのです。子どもを産むどころじゃないという若者もたくさんいるのです。
  「子どもを産みたいな」、そう思えるような街づくり・環境づくりを進めていくには具体的に何をすべきなのか。みんなで寄ってたかって真剣に考えていかなければなりません。特に、それを考え、実行していくべき立場に立候補した方々はそうです。数値目標だけが一人歩きするようでは「この国の未来」さえ見えてきません。「女性の活躍」と威勢のいい掛け声だけでは何も変わらないと思うのです。

(梶原洋一)



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