OTUニュース
20110420号
「国難」と人権


  三陸、すなわち宮城県(陸前)北部から岩手県(陸中)、青森県(陸奥)にかけての太平洋沿岸は、地図で見るとギザギザになっている。特に宮城県塩釜から岩手県宮古にかけては、溺れ谷による深い湾と海に突き出た半島が連続する典型的なリアス式海岸である。湾の奥にはわずかな平地と集落があり、港があった。大きな湾の奥には、気仙沼、大船渡、釜石など市制をしくほどの町が開けているが、それぞれの集落は半島を形成する急峻な山によって隔絶されており、近世までは「陸の孤島」とさえ言われていた。これまでもたびたび津波の被害を受けてきたが、交通網が貧弱であるがゆえ、被害者の救援や物資の輸送等がままならず、被害をさらに拡大してきた。だから鉄道はそこで暮らす人々にとっての悲願であった。もう何年も前だが、その鉄道に乗ったことがある。トンネルを抜けると町があり、駅があり、港があった。駅を出ると列車は再びトンネルに入り、抜けると町、駅、港。その繰り返しだったと記憶している。時折見える太平洋は白く輝き、雄大であった。今回、そこが壊滅的な被害を受けた。人々が営々と築いてきた地域の歴史も人々のくらしも、地震と津波が根こそぎもっていってしまった。その悲しみは想像を絶する。復興・新生等について今ここで論ずる紙面も力量もないが、三陸に平穏な日常が戻るまで、組織としても個人としてもできる限りのことをしていきたいと思う。一方で、「想定外」「危機管理」「超法規」などの名目で排外主義的な空気が醸成され、人権を規制・無視するような動きにだけは十分注意しておきたいとも思う。
(梶原洋一)


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