OTUニュース
20080820号
"格差社会"の中を生きるということ


  小学校の6年間で「姓」が3回変わったK君と出会ったのは、彼がまだ5歳のときだったと記憶している。生活根拠地は確かにあったが、さまざまな事情によって住む所もたびたび変わらざるを得なかった。結局一度も担任をすることはなかったが、"所在不明"になっていたときも不思議と私には連絡をくれていた。聞きなれない住所をメモした紙片をもって深夜の街を探し歩いたこともある。やっと辿り着いたアパートには、煙草の煙と人いきれに満ちていた。見知らぬ青年たちの奥に、照れ笑いを浮かべるK君がいた。母親は疲れ切った様子で表情がなかった。
  中学校卒業時に「ちょっと付き合え」と彼を連れ出し、"これから"について語り合ったのを昨日のことのように思い出す。それからしばらくして連絡が途絶えた。
  数年後、ある町の定食屋でばったりK君と出会った。"彼女"を紹介しながら、「先生、仕事がんばっとるんじゃ。腹立つこともあるけど我慢しとる。3年続けとる。」と言う。
  しかし、彼の賃金は驚くほど安い。雨が降ったら仕事そのものがない。
  格差社会は目の前に頑として存在している。"生きよう"としている若者たちから未来を奪うことは絶対に許されない。大都市圏を中心に非正規労働者の結集がはじまっている。労働組合は、そうした人々を束ねる力量をもたなければならない。
(梶原洋一)


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