文字や文章のもつ力

第52回おか山っ子特別賞表彰式

年になく旭川河川敷の桜が花開き、さわやかな春風にゆれ始めた、3月24日(日)県教育会館において、「第52回おか山っ子特別賞表彰式」が開催されました。

 別賞を受賞されたみなさんや保護者の方々が、県内各地より参加されました。表彰に続き、作品朗読がおこなわれ、自分自身の「くらし」をていねいに綴った作品の数々から、文字や文章がもつ力のすばらしさをあらためて感じる、感動的な表彰式となりました。

○「ぼくとなっちゃんはいつもいっしょ」そのなっちゃんの突然の転校についてわきあがってくる感情 を、すなおな言葉で書き込んだ いけだ たくやさん。

だらしなく見えていた登校班の班長「しゅん」へ の見方、考え方の変容が書き表されていた 金平  子さん。身近な「くらし」の中から値打ちあるもの を、みごとに切り取られていた作品でした

韓国から日本に来て2年半。「あいうえお、かきくけこ、・・・」韓国と違って日本のひらがなは曲線が 多くてむずかしい。木川 隆一さんが一文字一文字ていねいに書き込まれた作文の中には、「オヤジ」と日本語練習の日々が綴られています。



「おか山っ子」が誕生したのは、1950年度のことです。今から半世紀以上も前になります。第1回目の前書きには、こう書かれています。

「この文集は、1951年の新春にあたり、戦後のれすさんだ岡山県下の小学校や中学校や高等学校の児童、生徒の心の中から芽生えた美しいすなおな平和な心を育て、そして又自然や社会についての研究をすゝめるため岡山県教員組合、山陽小中学生新聞が主催となり、岡山県教育委員会、岡山ユネスコ協力会、P・T・A・岡山縣連合会の後援によって広く全縣下から募集した数千点の作品の中から、何回ものしんさの結果特選入選になった作品95編を(2巻に)集めて出来上がったものです。・・・」

1回作品集の文字は小さく、紙も茶色に変色しています。しかし、終戦後5年しか経っていないので、戦争の傷跡が家庭にも社会のあちこち身の残っていることが作品に刻まれています。衣食住すべて手に入りにくかった時代。紙類もそうに違いありません。そんな時代に、私たち岡山県教職員組合の先輩たちは、「おか山っ子」の発刊を始めたのです。それは、子どもたちに「平和を愛し、人を大切にする心を育てたい」「作文教育を進展させたい」「くらしを綴ることこそ大切にしたい」という、ほとばしるような思いからだったのでしょう。

「おか山っ子」は、半世紀以上もの長い間、子どもたち一人ひとりから生み出された「くらしの証言」であり、「生活の歴史」です。子どもたちがくらしの中で、何に心を動かし、何をどのように書き綴り、何を学んできたのかを示しています。「おか山っ子」は、これまでも、そして、これからも岡山の子どもたちに優れた文化を与え、豊かな人間性を育むことでしょう。

50年後、100年後の未来。この「おか山っ子」を手にとって読む人がいるかも知れません。そう考えると、文字や文章の持つ力のすばらしさを改めて感じます。

の日表彰された9人のみなさんの感性の豊かさ、くらしや社会を見つめる目の確かさに感動しながら、私たち教職員自身が文字を綴りながら、子どもや子どもの周りのくらしとどう向き合うのかを問われたようなひとときとなりました。

「おか山っ子」に応募した小中学生のみなさん、審査や編集に携わった教職員の方々、ご後援・ご支援をいただいた方々に心よりお礼を申し上げます。

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